2月, 2024年
2024-02-29
2024-02-29
アラン・ドロンと言えば往年の美貌スターとして人気があった。もちろん本国フランスでも人気があったのだが、特に日本での“女性人気”は圧倒的であった。『太陽がいっぱい』とか『地下室のメロディー』とかで、どこか寂し気な犯罪者の青年としての主役を演じ、その人気を不動のものとした。これらの映画はわたしも観たが、なぜか逃げ延びさせたい、と思ってしまう。その後も、ギャング役とか刑事役とかを演じ続けていた。つまりは“悪党”を演じ続けていた男性俳優だ。既に88歳の高齢で、近年は健康状態にも問題があるらしい。わたしが思うにアラン・ドロンが日本人女性に受けたのは、どこか神経質で潔癖な雰囲気が感じられるからだ。そして何よりも、その横顔に“或る種の憂いと孤独感”が漂っていたからだ。つまり役柄においては、どうしようもないようなワルなのだが、どこか繊細で孤独な雰囲気が一貫している。今と違って、あの頃は“悪い奴”が堂々と描けた。ギャングなのに主役となれた時代だった。今はコンプライアンスとやらで“悪い奴”を主役に出来ない。考えてみるとおかしいのだが、日常生活では犯罪などけっして犯さない人が、映画や小説の中では“犯罪者”に夢中になる。そういう場合の方が熱狂的なファンとなる。さて、そのアラン・ドロンも既に88歳だ。往年の美貌は失われたが、その財力は残っているに違いない。パリ郊外の自宅に捜査の手が入った。そして自宅から銃72丁と銃弾3000発以上を押収した。彼は「銃コレクター」として知られていたらしいが、それなのに銃の所持許可を取っていなかったらしい。よく、これまで無許可で72丁もの銃を所持して入れたものだ。もしかすると、映画と同じように何かのルートから“不法に入手していた”可能性もある。自宅の庭には広大な射撃場まで作っていたらしい。役者というのは、或る意味で“役柄そのまま”の部分を持たないと迫真の演技は出来ない。だからと言って犯罪を犯しても良いということにはならない。もしかすると日本女性たちに愛された名優は、どこかで道を間違え“ギリギリのライン”を踏み越えていってしまったのだろうか。
2024-02-28
アメリカの医療費が日本と比べて“高い”ことぐらいは誰でも知っている。知ってはいるが、それにしても「高額すぎるだろう」と驚くのが、日系人のセイコ・バンドウ氏(当時56歳)に送られてきた医療費の請求書だ。彼女は激しい疲労感に襲われて近くの医療機関で健康診断を受けた。その結果、心拍数が異様に低いことが判明、すぐ救急車によって専門病院であるクライスト病院へと運ばれた。すると心臓内科医から「ペースメーカーが必要です」と告げられ、そのまま入院して、翌朝には手術が行われ、無事手術は成功した。そして、その後も問題なかったので翌日には退院してきた。ところが、その5か月後になって医療法人から請求書が自宅に届いた。その請求書には100項目がリストアップされていて、保険によって賄われる金額を差し引いての請求額が224,587ドル(日本円にして約3370万円)に達することが記載されてあった。もちろん、こんな金額は「間違いだろう」と問い合わせたが、そうではなかった。そこで医療保険金などのコンサルタントを通じて交渉を重ねた結果、ようやくこの病院が“不適切な請求”をしていることが判明し、不当な金額の支払いはせずに済んだという。アメリカは日本とさまざまな点で“医療費制度”が異なっているが、いちばんの問題は各病院が独自の医療費を定めて良いことになっている点だ。日本のように、どの病院へ行っても、基本的な料金が変わらない国ではないのだ。各病院ごとによっても異なるが、各州や地域によっても金額的な違いがあり、ニューヨークのマンハッタン地区がもっとも医療費が高い。金持ちが暮らす中心地域で地価が高く、それに連れて医療費が高いのかもしれないが、それにしても初診料だけで何万円も取る。いやマンハッタンの場合は何十万円も取る。それが当たり前なのだ。特に「救急外来」の医療費はべらぼうに高い。救急の場合、支払い能力のない人であっても、奇妙なヒューマニズムを持っているアメリカ人は“受け入れる”ので、その分を一般の人たちから“高めに請求”しバランスを保っているらしい。緊急入院したような場合、何一つ薬を投与しなかったとしても“経過観察代”というものを1時間につき10万円とか20万円とか取られることが稀ではない。したがって緊急入院から何日間も入院していた場合、途方もない請求額を突き付けられることがあるのだ。この高額医療費の問題に関しては、昔から議論の的ななっているが、いまだに解決策を見いだせないでいる。このようなアメリカの事情を知ると、我が日本の医療制度はなんと素晴らしいのだろうと称賛したくなる。
2024-02-27
ときどき「時代」が進んでいるのか、逆行しているのか、わからなくなる時がある。たまたまネットニュースとして4歳児が「どうしてスカートを穿いてはいけないの⁉」と母親に問い、母親はその時から男児を女児として扱い始めた記録が記され、それに対しての“ネット民”のさまざまな反応が興味深かった。普段、あまり反応しないような人まで反応しているような気がした。確かに4歳児から母親が言われて、即“女児用に切り替える”という行為が、果たして良いのか悪いのか、難しいことだなと思った。そう思っていたら、それに関連する記事の中に神戸の地下鉄で「女性専用車両」に男性が乗車し、それに対して居合わせた女性がすぐ別な車両に移るよう注意し「でも、法律ではないですよ」と男性が言ったら、いきなり殴られたと言うのだ。そこで車両を緊急停止させて、駅員に警察を呼ぶよう言ったが、すぐ電話してくれなかったので、自ら電話し、現行犯逮捕してもらったという。それを「女性専用車両に反対する会」という団体のホームページ上で内容掲載をしたという。そういう団体があること自体、わたしは知らなかったが、この場合、何が正しいのか、よくわからない。確かに男性が「女性専用車両」に乗ることは良くないが、だからと言って“いきなり殴り付ける”ようなことでもないと思う。ただ、この男性はどうやら「女性専用車両に反対する会」の会員だったようなのだ。そうなると、また話は少し違ってくる。つまり、意図的に狙って引き起こした事件なのか、という気がしないでもない。一方で、4歳男児がカミングアウトし、それを母親が即受け入れて“女児化”させていく道を択び、その賛否があり、一方で女性専用車両に男性が乗り込んで暴行を受ける事件への賛否があり、われわれが成長期だった「昭和」の時代には決してなかったような問題や事件が次々起きて、それに対してのさまざまな意見や考えがネット上で展開される。こういう「令和の時代」が“人類の進歩”を物語る時代なのか、それとも、むしろ“人類が退歩している”ことの証しであるのか、正直よくわからない。ただ、なんとなくの“理解”とか“思いやり”とか“配慮”とかあれば、別に「カタチ」としてあらわさなくても、なんとなく“受け入れて来た”のが人類5000年の歴史ではないだろうか。
2024-02-26
札幌の住宅街にある地元密着型コンビニ「セイコーマート北31条店」で昨日早朝に事件が起こった。無職の40代の男が店内にいた従業員を次々と刃物で襲ったのだ。店内にはその時、5人の店員が居たのだが、そのうちの40代男性、50代女性、60代男性の三人が刺されて、40代男性は警察官が駆け付けた時には既に死亡していた。他の二人は重症だが、命に別状はない。駆けつけた警察官4人と“刃物の容疑者”との“逮捕状況”が近所の方が撮影した動画で明らかになっているが、簡単に摑まったわけではなく、相当抵抗した後に身柄確保となっている。一つには、この容疑者が大柄で腕力も強そうなことだった。アメリカなどなら射殺される場面だが、日本の場合には、4人がかりで必死に警棒などで取り押さえている。それでも、店内において最初に襲われた男性は死亡してしまった。日本のコンビニ店員は総じて客に親切で、暴漢に対してのセキュリティ対策が乏しい。中でも、北海道地元発祥で“密着型”と言ってもいい「セイコーマート」の場合、セキュリティ面でそれほど“防犯マニュアル”が整っていたのかには疑問がある。どうしても地元密着型のお店というのは、客側に寄り添う形でセキュリティが甘くなる。ましてや住宅街にある店舗で、暴漢犯罪とは“無縁”の地域なのだ。容疑者は「この店の近くに住む」と報道されているが、コンビニ店としては必ずしも近隣とは言えない。すぐ近くには別のコンビニもあるのだ。したがって、明らかに“この店”を狙っての犯行と思えるのだが、店のレジには手を付けていない。おそらく最初から強盗目的ではなく、殺傷目的での来店であったと思われる。最初から刃物を持って来ているところから、この店の従業員を殺傷したかったのだ。或いは“無差別殺人”の可能性もあるが、それでも一応“この店の従業員や客”がその対象となっていたに違いない。逮捕劇の状況からみても、従業員が簡単に取り押さえられる相手ではない。警察からの情報では「支離滅裂なことを言っている」容疑者のようで、精神的にも問題があって“無職の状態”が続いていたのかもしれない。広い北海道には、この「セイコーマート」の系列店が多い。その多くは家族経営など身内関係者で従業員が構成されている店も多い。さらに地域密着型であるから、どうしてもセキュリティという面では甘くなるのだ。近年は外国人観光客もコンビニを利用するケースも多く、そういう意味でも住宅街だからこそセキュリティ対策が重要な時代となっている。
2024-02-25
昔から疑問に思っていたことがある。それは十干十二支の「十二支」の方だ。よく干支に関する書籍などには十干十二支のことを「植物に由来する符号」などと書いてあるものもあるが、それは嘘だ。正確に言うと、前漢代以降になって“そういう風に”変容していったものだ。十干は元々“十種の太陽”に由来するものだし、同時に人体の「頭→甲」「咽喉→乙」「両肩→丙」「心臓→」(中略)「足→癸」という各部位を象徴したものでもある。また十二支の方は毎月(太陰月)を代表する“象徴的な出来事”に由来している。と同時に“十二の動物”に関連付けられたものでもある。この部分も、よく後世になって動物と関連付けられた如くに記してある書籍もあるが、そんなことはない。最新の研究では原初から“十二の動物”と関連付けられていた。それが、そのまま現代にも継承されているのだ。但し、そうすると“おかしなもの”が一つだけある。他はすべて“実在の動物”なのに「辰→竜=龍」だけが“架空の動物”となっている点だ。奇妙ではないか。わたしは以前から「龍」を架空の動物とすることに否定的だった。現代は存在しないが、太古には存在していた動物ではないのか。そう思っていたら、昨日、何か国もの学者たちが集まっての共同研究で、古代中国で生息していたとみられる全長5mの海洋性爬虫類「ディノケファロサウルス・オリコタリス」と命名された新種の爬虫類の“全身化石”が公開された。つい先日、2憶8000万年前の“爬虫類の化石”が「偽物だった」と明かされたばかりで、今度は大丈夫なのかと思うが、公開された爬虫類化石は“32の椎骨”を持ち、8の字形に化石化されている生々しいもので、どうやらこちらは本物らしい。そして、だれが指摘するでもなく“古代中国で言われてきた竜の姿”を想起させる。化石化したものから映像化した姿を観ると、首が極端に長く、一見「魚的な顔貌」にも見える。想像上の「竜」のような怖さは乏しく、角もなく、その剥き出しの鋭い歯だけが“竜的な顔貌”を伝えている。研究者によると、極端に首が長いのは“岩場の生物”を食するためであった可能性が強い。わたしは、どちらかと言うと、インドネシアなどに現在も生息する「イリエワニ」の方が頭部としては「竜」に近いような気がするが、いずれにしても、十二支上で昔から“架空の生物”とされてきた「辰→竜=龍」は、実際に古代に生息していた爬虫類であった可能性がさらに強まったような気がする。
2024-02-24
「日本」の長い歴史の中ではときどき“予想外の人物”が「首相」として統治している時期がある。ひょんなことから“担ぎ出されて”首相となった村山富市氏などもその典型と言える。その首相時代には阪神淡路大震災が起き、オウム事件が起き、明るい話題が乏しいところから、良い評価を受けていないが“担ぎ出された”くらいだから人情味あふれる人物として周囲から慕われていたことは間違いがない。政治家を引退して以降は地元の九州に戻って、静かな余生を送っている。そして、今年の3月3日で100歳を迎える。それを祝って、明大校友会から23日に百年間の新聞記事をまとめた記念品が届けられた。それを大変うれしそうに眺める姿が公開されている。首相時代の村山氏に関しては、良い評価を与えられていないことが多いのだが、自民党とさきがけ党と社会党の奇妙な合同政権で、社会党から首相になった人物なのだから、いろいろ難しい部分があったに違いない。社会現象としても、阪神淡路大震災が起こり、オウム事件に翻弄され、じっくりと「日本」を立て直す余裕がなかったと言えるかもしれない。ただ彼は観相学的にも注目される“毛の長い眉”の持ち主だった。この櫛で梳くことが出来る長い眉毛は“人情味豊かな人物”の特徴である。そして、もう一つは“長寿眉”の一つでもある。元々「眉」は“血の余り”であるから“身内の縁が深い相”でもあるが、政界引退後は故郷の大分に戻って、確か娘さんたちと一緒に暮らしていたはずだ。昔は、こういう眉を“長老眉”とも呼んで、村の長老とか僧侶などに多い「慈悲心あふれる物知り爺さん」に多い相とされていた。そういう意味では、文字通り、絵に描いたような“長老眉の人生”をそのまま歩んでいると言える。世間的な評価は低いが、勲章だって貰っているのだ。また、わたしは知らないが、きっと子供や孫たちからも、自分に厳しく人に優しい「物知りの爺さん」として慕われているに違いない。人生を何で評価すべきかは難しいが、少なくとも、悪いことをして“健康長寿の100歳”は得られないような気がするので、彼はそれなりに“首相としても”頑張っていたに違いないのだ。
2024-02-23
とうとう1989年12月“バブル期の日経平均”を、昨日あっさりと越えてしまった。わたしは「桜満開の頃」と予想していたので、ずいぶん早かったことになる。そうすると、今の勢いは続きそうなので「桜満開の頃」には42000円くらいまで一気に駆け上がっていく可能性もある。何しろ中国から引き揚げた“中東からの投資財源”が入って来ているので強いのだ。かつてのバブル期の「日経平均」を超えたので、今回も「バブルだ」という人がいるが、もし42000円を超えたなら、そういうふうに言っても良いと思うが、今の時点ではまだ「バブル」というほどではない。前にも書いたが、日本人は慎重なので、よほど安心感を持たないとギャンブル性のある「株」を買わない。ところが周りも買い出すと、それに釣られるかのように「自分も買ってみようか」という人たちが多い。それが日本人の特徴なので、周りも買い出したときには危ないのだ。現在は心配ない。なぜ心配がないのかというと「日経平均」が上がっているだけではなくて、アメリカの株も、欧州の株も、それぞれが“史上最高値”をつけている。日本だけの株高ではないのだ。だから、ひとまずは安心なのである。但し、こういう時は、もし何かが起こって急落する時には、世界全体の株式が驚くほど急落する。よく「日本はようやく経済が上向き出したので心配ない」などと言う人がいるが、それは間違いだ。今は世界が連動してしまっているので、ダメになる時にはみんなダメになる。だから逆にいえば「赤信号みんなで渡れば怖くない」で、桜満開迄は怖くないのだ。それから先に関しては、正直、いまの時点では“不明”としか言いようがない。ただ何度も言うが誰もが買い出したときには危ないのだ。もっとも42000円前後までは“一気に駆け上がる”可能性が強い。そうすると今からでも3000円の上昇幅がある。だから、わたしが去年から言っている“半導体関連株”を買えば「半導体バブル」の恩恵に与かって、その分の上昇は得られるかもしれない。半導体関連以外の株はどうかと言えば、少しは上昇するが、そんなに上がらない。指数構成から観て、そういう風に出来ている。たぶん黙っていても、みんなが買い出して“安心感”が得られたような時、思わぬところから急降下の波が訪れることだろう。
2024-02-22
四年間で何が変わったのだろう。あまりにも急激に増えている。セックスレス夫婦の割合だ。何しろ四年前の2021年の調査では、まだ51・9%だったのだ。もちろん、この数字でも世界的な比較から言って“多すぎる”のだが、なぜか2024年の最新の調査では、それが64.2%にまで急増している。その間に在ったことと言えば、コロナ禍による“非接触期間”、それにいくつかの“性加害トラブル”だろうか。それらが、潔癖な日本人には“性愛そのもの”の不条理を連想させ“距離を置く姿勢”に繋がったような気がする。さらに直接的には関係ないが、幼児虐待とか育児放棄とかの世間的事件や関心事が子育て世代に“子供を産み育てていく難しさ”を改めて感じさせ、それもセックスレスに拍車をかけた可能性がある。とにかく日本人夫婦が他の国の人たちよりも、以前からセックスレスの比率が高いことは広く知られている。もしかすると、日本人があまりふだんからスキンシップを取らず親近感を表す日常とも関係が深いのかもしれない。この調査では、もう一つの注目すべきデータが示されている。それは他の世代とは違って、10代~20代の男性世代には「セックスをしたいとは思わない」という男性たちが36%もいたということである。この世代こそが本来は“もっとも性的欲求の強い”世代であるはずなのだ。それなのに、他の世代では10%台なのに、10代~20代の若い世代だけが3割以上も“性的欲求を持っていない”ことは、どう考えれば良いのだろう。もしかすると、さまざまな事件とか状況などから“性愛”そのものに対して“邪悪なもの”のような印象や意識を持ってしまっているのではないだろうか。そうでも考えないと、理解に苦しむ。もしかすると「恋愛」としての“愛情”そのものに対して欲求が乏しいのかもしれない。最新の調査では「女性と付き合わなくても寂しくない」とか「恋愛は今の自分に向いていない」という反応も多かったようだ。愉しみ方の多様化が進んでいることは間違いがない。また相手を“思いやらなければ成り立たない”恋愛はゲームのような爽快感が乏しいのかもしれない。これで良いとは思わないが、過去の価値観が通用しなくなってきていることは認めざるを得ない。
2024-02-21
日本から遠い中南米諸国のニュースには不確実なものが多い。しかも、あまり詳しくは報道されない。だから、ほとんどの人は今から2年半ほど前にハイチの現職大統領が自宅で暗殺されていた事件を知らない。2021年7月7日の未明、ハイチのモイーズ大統領は首都にある豪邸で、米麻薬取締局を名乗る30名以上の武装集団によって取り囲まれ、その場で銃弾12発を浴びて絶命した。その場に居合わせた大統領夫人に対しても発砲し、腕などに重傷を負った。武装集団は室内から何らかの書類を探し出すと、すぐさま逃走した。あっという間の出来事で、警備員たちは間に合わなかった。警察は逃走中だった武装集団から数名を射殺し、23名を拘束した。その後も事件関与の拘束者は増えたが、彼らの首謀者は誰か、何が目的であったか、その重要な部分については未だ明らかになっていなかった。2年半以上が経って、同国の裁判官は、この事件が大統領夫人と当時のジョセフ暫定首相が共謀して、引き起こしたものであると結論付けた。ジョセフ氏やマルティーヌ元大統領夫人は猛反論し、このような結論を引き出したのは事件の数日前にジョセフ首相に代わって“新しい首相”となったアリエル・アンリ氏が、ハイチの司法制度を巧みに利用して「反対派を一掃しようとする迫害行為だ」と訴えている。事件には、わからない部分が多い。大統領を襲った武装集団など40名以上が逮捕されたが、首謀者に関しての確かな情報はない。この事件の捜査官や検察官たちは、しばしば妨害にあってスムーズな捜査が阻まれていた。そういう中で大地震が起こり、2200名以上の命が失われた。大統領の事件は後回しになった。アンリ首相は「大統領選挙を実施する」と公約に掲げていたが、結局、延び延びになって未だ行われていない。大統領不在の状態で、それでなくても政情不安と治安の悪化が続く国内は、薬物事件や強盗事件が頻発している。アンリ首相は事件前、元政府高官と頻繁に連絡を取り合っていたという証言もあり、その人物が指揮・命令しての捜査や裁判には疑問符が投げかけられている。ただジョセフ暫定首相を大統領夫人が信頼していたことは事実のようで、モイーズ大統領を殺害しようと企てた張本人だという証言者もいる。つまりは、だれが本当の首謀者なのか判然としていないのが現状なのだ。ドラマ化するにはもってこいの事件だが、もしかすると、元首相や元大統領夫人、それに現首相にも関わりのない“ほんとうの首謀者”がいるような気がする。
2024-02-20
歴史を観ると、どの王国でも帝国でも“栄枯盛衰”がある。長続きする場合でも“何百年間”かが、その国が繫栄していく限界のような気がする。世界的に観ると、もっとも長く繫栄していたのは約3000年間にわたって栄華を極めた「古代エジプト王朝」のような気がするが、実際には“古王国時代”と“中王国時代”と“新王国時代”と“末期王朝時代”とに分かれるもので、それぞれの繁栄期はせいぜい300年~400年くらいのものである。「日本」の場合には、一応“江戸時代”がもっとも安定して長く繁栄していたよう感じられるが、近年の「日本」は“バブル崩壊後”に失われた経済力を立て直すのに必死で、どう視ても“繁栄している国家”という印象ではなかった。その間に覇者となり、世界をリードするようになったのは「アメリカ」であり「中国」だった。ところが、その中国がここにきて急速に“危うく”なって来ている。わたしは三年ほど前であったか、或いは二年ほど前だったかハッキリしないが≪中国はデフレに、日本はインフレに…≫というコラムを書いた。その当時は、まだまだ“そういう雰囲気”は微塵もなかったが、近いうちにそうなっていくだろう、という予見の形で書いておいた。それが、ここにきて確実に実現化しつつある。あれほど“デフレ”に苦しんでいた日本が、いつの間にか脱却をして、徐々に“インフレ”に移行し、逆に中国の方は意図したものではないが間違いなく“デフレ”方向へと動き始めている。その国の経済が上向くと、黙っていても徐々にモノの値段が上がっていき、その国の経済力が下降していくと徐々にモノの価格が下がっていく。これまで中国の経済発展に期待し、投資してきた各国がいっせいに“その投資資金80%以上”を撤退し始めたのだ。その“行き場を失った投資資金”が「日本」に向かおうとしている。もちろん、その全部ではなくまだ半分にも達していないが、それでも「日本」の比率がもっとも多くなってきた。東南アジアの各国も、一時期ほどの急成長ではなくなってきた。つまり、中国が減速したことで、東南アジアの各国も、その影響を少なからず受ける。その影響が比較的少ないのが“わが日本”なのだ。そして、日本はアメリカと経済的な面でのつながりが強まって、国を挙げて本気で“半導体事業に取り組む”姿勢を明確にしたことで、そして何よりも“デフレ脱却”が視えたということで、30年後くらい“次代の覇者”になりうるかもしれない……という期待がかかり始めている。せっかく、そういうことで“繁栄の階段”を一歩だけ踏み出したあたりだが、もう“その階段”を登りきる頃には、わたしの生命は尽きているはずで、つまり「覇者としての日本」を観ることはできない。だが、ほんとうに覇者になどなれるのか……夢見る程度がいちばん良いのかも……。
2024-02-19
アメリカの住宅価格が途方もなく高騰していることは誰もが知っている。日本でも、最近は“高くなってきている”ことは誰もが感じるが、アメリカと比べると、まだまだ安くてホッとする。そのアメリカの住宅価格に関連して、増えてきているのが“路上生活者=ホームレス”だ。広い国土を有するアメリカの場合、路上生活者が各州に広がりを見せてはいるが、50州のうちの一部の州だけが特に多い。その筆頭はカリフォルニア州で全米の30%を占める。人口にして17万人だ。すごい数だ。われわれはどうしても「富めるアメリカ」のイメージを持っているが、実際にはカリフォルニア州だけでも17万人もの“住居に暮らせない人たち”がいるのだ。ただ各州を比較した場合、明らかに偏りがある。カリフォルニア州だけが突出してホームレスが多い。これにはさまざまな理由がある。一つには他の州からの移住組が多いことだ。この地域が路上生活に重要な温暖な気候を持っていて、薬物などに対しても寛容な傾向がみられるからだ。奇妙な話だが、ここは元々高級住宅街が多い地域で、法律的に集合住宅よりも、戸建ての方が優遇を受けるようになっている。また安価なアパートなどの建築は認められていない。本来は富裕層が暮らすべき地域だからだ。そこでどうしても庶民の住宅は慢性的に供給不足なのだ。もっともロサンゼルスだけでも7万5千人以上いる路上生活者は、主として路上にテント生活で、実際には街中にあふれている。テントが張られているすぐ横をたくさんの通勤者などが通り過ぎる。日本のように、どこか目立たないところや片隅に段ボール住宅が並ぶより、派手でカラフルなテントが路上のあちこちに存在しているのは、嫌でも目立つ。ホームレスに対する法律は州ごとに違っている。ロサンゼルスの場合、そこで暮らしている人達の半数近くが50歳以上であり、元々はこの地域か近郊の住宅に暮らしていたが諸事情あって住宅を手放した人たちだ。近年の住宅費の高騰は、路上生活者を増やすことはあっても減らすことは難しいよう思われる。よく「アメリカンドリーム」と言うが、実際に“それ”を達成できるのは、ほんとうに一握りの幸運者だけなのだ。
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