世の中にはさまざまな事情から“身を隠す”人たちがいる。たいていの場合は“誰か”には打ち明けて出ているものだが、時として誰にも告げず、突然、消えてしまうような人もいる。福井県で1997年4月に“行方不明”となった宮内和也氏もそういう人物の一人だ。その後の調査で海岸でジャンバーなどが見つかったところから北朝鮮に拉致された可能性もあるとして「特定失踪者」のリストに加えられていた。それから19年が過ぎ、先日、県外で発見・保護された。親族が確認したらしいが、まだ家族には会っていないという。「泣いて、泣いて、泣いて、どうしようもないくらいに泣いた」という本人の状況から、大体のことは察することができる。多分、彼は19年間「別人」として生きてきたのだ。どういう経緯で“発見”になったか知らないが、警察での事情確認は終わり“事件性はない”とされているので、本人の意思による“失踪”であったことは間違いがない。19年間の“空白”を埋めていくのは大変だが、まだ51歳なので“焦らず元に戻る”ことを考えればよい。おそらく、国内には、そして海外にも、何らかの事情から「別人」として生きている人たちが何人も、何十人もいることだろう。自らの意思で「別人」となった人、「別人」として生きる以外なかった人、半強制的に「別人」とさせられた人…などがいるに違いない。何しろ、年間10万人くらいの「失踪」届が出る。そのうち98%は1週間以内に発見される。最後まで分からないままの失踪者も年間千人くらいはいるらしい。今回の親族の方が「一瞬で本人と判った」と言っていた。「血は水よりも濃い」のだ。
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