12月19日に新規上場する「ソフトバンク株」の仮条件が昨日「1株=1500円」と公表された。もちろん、これは“仮条件”なので、実際の“売り出し価格”がいくらになるかは今のところ分からない。ただ、この価格から大きく外れることはないので、比較的“安い株価”で売り出されることが決定した。これは、おそらく、これまで「株」など購入したことがない人にも購入のチャンスを与えたい、という孫正義氏の意向が反映しているのではないか、と私は思う。もちろん、商売人である孫氏は、同時に世間の注目を集めて、結果的にソフトバンクへと投資をさせる戦略でもある。そうでなければ、株を売り出すことを“テレビCM”でなど流さない。つまり、一人でも多くの投資家に“安い公募価格”で購入するチャンスを与え、投資利益を与えてあげたいという気持ち。同時に、これまで「株」など興味を持たなかった“若い世代”に、投資に興味を抱かせ、さまざまな企業を応援させる起爆剤にしたい、という思いがあるような気がする。堅実な日本人の多くは「株」とか「投資」とか「起業」とか「未知」というものに対して懐疑的である。確かに、それらには“失敗”とか“損失”とか“虚偽”が絡んでいるケースも多く、ギャンブルと“同枠”で語られやすい。ソフトバンクも、電話事業はともかく、その本体の方は今や完全に「投資会社」となっていて、しかも、その提携先の第一がサウジアラビアの“王子様”となれば、妖しさが付きまとうのは仕方がない。今回の上場によって得られる資金2兆6000億円も、そのまま“電話事業”ではなくて“新たな投資事業”へと使われる。投資会社と化した「ソフトバンクグループ」が、それをどこに使うのかと言えば、世界中に散らばっている“ひよっ子の企業”である。つまり、将来“大企業になるかもしれない企業”や人物に「どうぞ使ってください」と大金を差し出す。実際、孫氏は、そうやってアメリカの「ヤフー」を育て、中国の「アリババ」を育てた。彼の“目利き”には定評があって、何十年も前から手を打っていく。そういう点では、極めて優秀な“予見能力”を持っている稀有な事業家なのだ。但し、そういう彼でも100%予見が的中するわけではなく、失敗した事例も多い。さまざまな「蕾」に投資して、その中から「大輪の花」を咲かせるものを発見していこうとする。その試みは一般の投資家も、そして占い師が個々のホロスコープや四柱命式から“才能”や“成功”を予見するのも、基本的に大きな違いはない。占い師は山ほどいるが、“目利き能力”が本当に優れた占い師は十人もいない。
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