私は占い師という職業柄、相手に「占ってほしい」と言われれば、どんなことでも占う。よく「死期は占わない」とか「不倫は占わない」とかいう人が居るが、私に言わせると、その人はプロではない。本質的にプロ占い師であれば、何であれ「占える」はずだからだ。但し、それを“悪用しそうな人”には、出た結果を、そのままの形では教えない。「占い」というものは「天気予報」と同じで“絶対に当たる”という保証などできない。逆にいうと、絶対に当たるものなら、それこそ悪用される可能性もあり、危険なものになる。“絶対”ではないから、多くの人たちにとって“救いの神”になる。巷にはたくさんの神様が居るが、それらだって“絶対”に救ってくれるものではない。そんなことは誰もが経験済みのはずだ。にもかかわらず、誰も「神様」を責めたりしない。過去に“救ってくれなかった神様”に、もう一度お願いしたりする。奇妙なもので、絶対に救ってくれる神様などいないのだが、それでも人々は拝んだり、祈ったりする。占いだって「100%当たる」などと公言している人は“大ウソつき”以外の何物でもない。ところが、おかしなもので、そういう“大ウソつき”の方が人気が出たりする。それは「天気予報」でもそうであって「実は一週間後の天気はよく解からないのです」と言ったなら、途端にその天気予報士は“信頼を失う”に違いない。要するに、真実を“真実のまま”伝えることが適切かどうかは、微妙なのだ。私は大昔、離婚の時、娘に「実はサンタクロースさんは父親だったのだ」と教えた。やがて冬が来た時「今年はなぜ来ないの?」と元妻が責められるのは可哀そうに思えたからだ。同じように、その人の人生を左右するような事柄に関しては、そのまま伝えた方が良い場合と、そのまま伝えてはいけない場合があるよう私には思われる。例えば試験などの場合「100%受かる」と早い時期から告げてしまうと勉強をしなくなるだろう。逆に「絶対に落ちる」と告げた場合にも、勉強は無意味となって、努力はしなくなるだろう。どちらの場合でも、あまりにも早くから「未来」を“あからさま”に伝えるのは良いとは言えない場合もある。あくまでも、相談者や状況によって「答え」に“調味料を加える”のが、力のある未来を預かるものとしての使命なのだ。
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