「芸は身を助ける」という諺がある。確かに、何かしらの芸を持っていれば、何とか生きていくことが出来たりするものだ。では、何も“芸”を持っていない人の場合はどうだろう。時には「ホクロが身を助ける」こともあるのだ。かつて活躍した「髭男爵」という二人組を憶えているだろうか。ワインを片手に「ルネッサンス」と乾杯する。要するに、それだけの“つまらない芸”を売り物にしていた。二人のうち、文字通り髭面の山田ルイ53世氏の方は、ブームが去った芸人たちの“その後”を追った本をまとめて注目を浴びた。謂わば“芸人評論家”のような立場を確立しつつある。さて、もう一方の目立たない人物「ひぐち君」の方はどうなったのだろう。忘れるともなく忘れていたが、どっこい生きていたというインタビュー記事を読んだ。それも今や「日本のワインを愛する会」の副会長という要職についていたのだ。名目だけの副会長なのではない。2015年に難関である「ワインエキスパート」の試験に合格し、今やプロのワイン鑑定士でもあるのだ。そして、そういう方面からの仕事がほとんどに変わりつつあるという。見事な転身。けれども、これは偶然ではない。彼には法令線の内部、人相学上で「食禄」と呼ばれる鼻・口・法令線で囲まれている領域内に大きなホクロがある。このホクロは俗に「ご馳走ボクロ」とも呼ばれて“飲食”に縁の深いホクロなのだ。アスリートである高橋尚子氏や池江璃花子氏なども同じ場所にホクロがある。こういう人は飲食に関連する“商売”をすれば必ず成功する。ただ昔から「居候を置く人の相」とも言われていて、そのため余分な出費がかさむのが常である。ひぐち君の場合も、芸能界一の“ウサギ好き”だそうで、そのための出費が多いに違いない。それにしても、お酒をほとんど飲まなかった彼が「ワインエキスパート」の資格を取るために必死でティスティングの訓練を行ったと述べているが、その結果として難関の試験を突破することが出来たのだ。「食禄」にホクロのある人は、昔から「喰うに困らない相」とも言われて困っても誰かが食べさせてくれる。彼の場合には先輩であるカンニングの竹山氏がいつも奢ってくれたらしい。昔の日本では上流階級の家庭では、常に女中や運転手や門下生などを自分の屋敷内に住まわせた。そういう人に多かったホクロでもある。首相であった伊藤博文氏なども食禄に目立つホクロがあった。そういう意味では文字通り「おいしいホクロ」が“食禄のホクロ”なのだ。
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