時の流れは、嫌でも物事を“変遷”させていく。正月特有の風物も徐々に姿を変えていく。ビッグカメラは、早くも「2019年福袋」を売り出し始めた。正月より20日も前から「福袋」を売り出すということ自体にも、違和感はあるのだが、それよりも私は近年の「福袋」が“中身が解かっている”ことに、なんとも言えないつまらなさを感じる。大昔、まだ私が幼い頃、正月と言えば「初荷」があった。「初荷」と言っても、若い人たちは解からないことだろう。各商店に向けて問屋や倉庫から、その年初めて出荷する商品を送り出す行事のことで、正月2日に行われていた。すべての業者が一斉に行うもので、早朝から馬車やトラックに積み込まれた荷物そのものが“着飾られている”のが特徴だ。さらにそれぞれのメーカー企業、或いは卸問屋の「ロゴ&企業名」或いは「謹賀新年」とか「迎春」とか、それぞれの“登り”や“旗”など立て住宅街や商店街を太鼓やガンガンを叩きながら走り回るのだ。ハッキリ言ってとてもうるさい。うるさいのだが、誰も文句などは言わなかった。そのガンガンの音や拡声器による音楽などを聴きながら、今年も明けたのだな…という気分を誰もが味わったものだ。幼い私は二階の出窓から、その光景を飽きずに眺めていた。私の記憶が間違いなければ、大体午前5時半過ぎくらいから始まって、午前10時くらいまで続く。だから正月なのに、朝からうるさくて寝ていられない。だが、今みたいに、そういうことに過敏ではなく、一種の“お祭り騒ぎ”としてみんな許していた。そして、それを聴き終えた後、お目当ての店に行って「福袋」を購入するのだ。もちろん、中身など解からない。解からないから「福袋」で、新年の先行きを占う行事でもあった。「福袋」の中身が“豪華てんこ盛り”であれば、その年は幸運が訪れ、あまり大したものが入っていなくて“ガラクタ同然”なら、その年は不運な年だということになる。そういう単純な“占い”は、神社へ出向いての“おみくじ”とはまた違った占い方として面白みがあった。ところが、近年の「福袋」には、そういう“おもしろみ”とか“楽しみ方”というものがない。確かに“ガラクタ同然”のものを引き当てる不運さは無くなったが、同時に“豪華てんこ盛り”を独り占めできる快感もない。「就職企業」や「結婚相手」を択ぶ時でも、現代は“情報”が溢れすぎていて、“予備知識”や“事前比較”が出来過ぎて、予期せぬ偶然からの驚きや発見が乏しい。それでいて完璧かというとさにあらず、実際にはあっという間に“離職”や“離婚”する人が出て来る。結局、合理主義的な人生観は「幸運な人生」になど繋がらないのである。
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