あまり大きく報道されていないが、今年の2月22日、興味深い事件が起こった。スペインの北朝鮮大使館が武装した複数の人物によって襲撃されたのだ。通常、大使館というのは警備が厳重で、そう簡単には中に入れない。ところが襲撃犯は白昼やすやすと門を突破し、その内部に侵入した。そして館員たちを次々と手早く縛り上げ、激しく尋問を繰り返した。さらに室内のコンピュータや携帯電話などをすべて取り上げ、そのまま大使館が使用していた高級車2台を使って逃走したのだ。明らかに計画的な組織犯罪だった。この事件が大きく報道されなかったのは、スペインの北朝鮮大使館が地元警察に対して「被害届」を提出しなかったからだ。一説には、いろいろと北朝鮮の“ヤバイ密輸情報”等が記されたものが持ち出されているので、それを警察や政府に知られたくなくて、そのままにしたらしい。この時、襲撃した者達は「千里馬民防衛」と名乗った。この組織がアメリカの「CIA(米中央情報局)」ともつながっているという憶測も流れたが、これは“ガセ情報”らしい。この事件から少し経って、今度はクアラルンプールの北朝鮮大使館の外壁に何者かがハングル文字で「金正恩打倒」と書き殴った。そして、それより少し前の3月1日、あの「千里馬民防衛」は「自由朝鮮」と改称し、外部にて「臨時政府」を打ち立てたとネット上で宣言した。今のところ、これらの動きに対して北朝鮮は国際的には特別反応していない。スペインの大使館では内部まで侵入出来たのに、クアラルンプールのマレーシア大使館では外壁への落書きだけである。この違いについては、元々この組織に元スペイン大使の金革哲氏が関わっているからではないかという見方もある。また金正恩氏と異母兄弟で殺害された金正男氏の子息・金ハンソル氏を“護衛する集団”と金革哲氏が結び付いているという見方もある。そう言えば最初の「千里馬民防衛」という名称は、そこから来ているのかもしれない。つまり、金ハンソル氏の護衛が、いつの間にか「金正恩打倒」に変わって、最終形としての「自由朝鮮」という形となった。おそらく、しばらくは海外にある北朝鮮大使館への襲撃などで“揺さぶりをかける”動きが続くような気がする。ただ私の占いでは、4月の行動なら上手くいくが、8月の計画は中止した方が良い。それにしても、これまで顔の色艶が大変に良かった金正恩氏が、今回の米朝会談時から急激に悪くなった。頬骨から側面にかけて“赤暗色が漂う”ように変わったのだ。何かが、彼自身の“内部”でも生じ始めている。
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