4月13日エジプトのサッカラで、今から4400年前のものとみられる「貴族の墓」が報道陣に公開された。古代エジプト王朝で言えば第5王朝の時代のもので、ギザの大ピラミッドで有名な「クフ王のピラミッド」から百年ほど後の時代の墓ということになる。実は最近、サッカラでは相次いで新たな遺跡が発見されていて、昨年12月には同じ第5王朝の「聖職者の墓」が発見され、さらに今年1月には第5王朝中期ネフェルェフラー王の王妃「ケンタカウェス三世」の墓が発見され、そうして今回公開された「貴族の墓」が今年3月に発見されたものなのだ。このようにサッカラだけで次々と遺跡が発見されるのは珍しい。しかも、そのどれもが“保存状態”が大変に良い。今回公開されたジェドカラー王時代の「貴族の墓」も色鮮やかな壁画が四方に描かれ、4400年前というのが信じがたいほどである。ただ「貴族の墓」なので、その使用人たちの農耕生活などが描かれているだけで、ファラオや神々は描かれていない。ちなみにネフェルェフラー王にしろ、ジェドカラー王にしろ、その末尾に「ラー」が付くのは太陽神である「ラー」信仰を崇める王であることを表わしている。ギザの“三大ピラミッド”でも「第2ピラミッド」はカフラー王が「第3ピラミッド」はメンカウラー王が、それぞれ建設したことになっていて「第1ピラミッド(大ピラミッド)」のクフ王だけ「ラー」の称号がない。つまり「クフ」は「クヌム・クフ」王とも呼ばれて“クヌム神”を標榜していたと考えられている。“クヌム神”というのは「人間を創造した」とされる“オヒツジ🐏の神”である。なぜかクフだけが“仲間はずれ”なのだ。だから彫像も「カフラー」や「メンカウラー」などは“立派な彫像”が遺っていたが、クフだけは7㎝の“みすぼらしい像”しか遺っていないのだ。ところで、第5王朝の遺跡が続々と発見され出したのは、もしかすると“予兆”ではないかと私は思うのだ。もっと大きな発見、もっと大きな遺跡、もはや“存在しない”と思われていた“もの”が何らかの偶然から出現する予兆ではないかという気がするのだ。「撮れない」と言われていたブラックホールが撮影できたように、もはや「存在しない」と思われていた遺跡が“ひょっこり顔を出す”そういう兆しとしての“聖職者・王妃・貴族の墓”であってほしい。
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