最近はどの国も個性派のトップが多くなったが、その中でも極めつけの一人がフィリピンのドゥテルテ大統領だ。とにかく、この人、良く言えば「有言実行型」の典型であり、悪く言えば「血も涙もない強権独裁型」の典型である。とにかく、国民を前にして「殺す」という言葉を平気で使う。しかも、それは単なる脅しではない。実際に殺してしまうのだ。言い訳など一切聞かない。裁判さえも無視する。ちょっと時代錯誤じゃないかと思うほど、問答無用の辣腕ぶりである。だからといって国民の支持率が低下しているのかと思いきや、そうではない。フィリピンでは、みんな「麻薬撲滅のためなら仕方がない」と割り切っている風なのだ。人道もへったくれもあったものではない。そうしてこれまで数千人が犠牲となった。昨日も、セブ島北部へボートで家族と出かけたビンセント・ルート州知事が、謎の武装集団に襲撃を受け4人が負傷した。幸い、州知事自身は無事であった。実は彼も、ドゥテルテ大統領から「殺害予告」を受けている一人で、麻薬ビジネスに関与した「麻薬将軍」だと大統領から名指しされ、繰り返し「殺す」といわれている一人だ。うかうか休日も出掛けられない。フィリピンの場合、性根が腐っているとでもいおうか、麻薬を取り締まる側の地方官僚、警察官、判事などが加担しているとされ、それ故に国民も納得の「麻薬撲滅戦争」ではあるらしい。それだからといって、捕まえる前の段階で、射殺して良いものであろうか。実際に地方の州知事であっても、これまでに名指しされた3人が射殺されている。元々検察幹部だったというルート州知事だが、今回はぎりぎりのところで射殺を逃れた。だが「有言実行」の大統領は、国民に何度も約束した以上、やがて約束を果たすに違いないが、いつかは大統領自身が射殺される日が来るのではないかと、私には“嫌な予感”がしてならない。
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