ごく最近まで日本が、或いは日本人が、世界の人々から今一つ理解されにくかったのは「言葉の壁」があったからである。言葉の壁さえ取り除くことが出来れば、もっともっと世界を股にして活躍できるし、外国人たちからも理解されやすい。最近はIT機器のおかげで一瞬で画像が世界を駆け巡る。そのせいで日本は“観光大国”に変わりつつある。黙っていても、訪日外国人たちが気に入った画像や特質をSNSを使って拡散してくれるからだ。そういうわけで「日本」という国からの発信は問題なくなった。ところが「日本人」そのものへの理解、或いは「日本人」の“考え”や“才能”を上手く伝わらせることに関しては、まだまだ十分とは言えない。そういう意味で今後大いに活躍しそうなのが“音声翻訳アプリ”「ボイストラ」である。実は、これまでにも、日本語を外国語に翻訳してくれるソフトなどはいろいろとあった。その開発は1986年から始まっているからだ。ところが文法にそっていないと翻訳できないとか、翻訳機自体が大きすぎるとか、通訳するのに時間が掛かり過ぎるとか、いろいろな問題が出て役立たなかった。大昔、私も「世界言語翻訳機」なるものを購入し使ってみたことがある。これの何がいけないかというと、こちらから言いたいことを翻訳して相手に聞かせることは出来ても、相手からの言葉が翻訳されて返ってこないのだ。だから、結局、相手との言葉のやり取りが成り立たない。大昔、初めて中国に行った時、これを使って店員に「もっと別の製品を見せて欲しい」と語ってもらった。二人の女性店員は興味深そうにその翻訳機を見た。そして顔を見合わせて笑った。「すごいわね」と多分思ったのだ。そして、おもむろに、何かを説明し始めた。おそらく「この店舗にはこれ以外の製品は置いていないのです。もし、購入したいなら他の店舗に問い合わせますが…」多分だが、そういう風に言っていたのだろう。けれども、これは私の勘であって、翻訳機の言葉ではない。つまりは役立たなかったのだ。ところが、日本で2014年から始まった国家的なプロジェクトでは精鋭40名にも及ぶエキスパートたちが、どうすれば日本語、英語、中国語などを一瞬に訳して実用化できるか、さまざまな研究・実験を繰り返し、翻訳精度が飛躍的に改善されたらしい。17か国語に翻訳可能だそうで、それならどこに出掛けるときにも安心というものだ。ただ実際に使ったらダメだったということにならないか、やや不安だが…。
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