そういえば最近、多くなった。自動車内で暮らしている若者たちだ。もっとも、これは日本ではない。アメリカの話だ。現在18歳~35歳の世代の74%が賃貸住宅で暮らしているらしい。けれども、その賃貸住宅の価格が近年、高騰しているのだ。そうなると、どうなるかというと、高給取り以外は街中で暮らせなくなる。そこで登場してきたのが自分の車を住宅用に改造してしまい、そこを本格的な住居として暮らし始める方法だ。けれども、彼らは必ずしも、家賃が払えないから車で暮らすのではない。高い家賃を払うよりも、自分の趣味や旅行などにお金をかけた方が良い、という価値観の持ち主なだけだ。ホームレスとなったから車で暮らすのではなくて、車を改造して“自分の部屋”にしてしまったから、もう住居はいらない…という人達なのだ。だから低所得者層よりも、中産階級の「新住居形態」の一つとして“家を所有しない”という価値観が広がりを見せている。但し、そういう生活を十数年続けて、或る程度の年齢になって、賃貸マンションに戻っていく人たちもいる。だから、或る意味では「若者の新住居形態」と言い直した方が良いのかもしれない。アメリカの集合住宅そのものも、リーマンショック以降はシェアハウスが多くなり、或いは極小スペースのマンションが多くなっている。住居としての車内は、多くの場合はキャンピングカーとか、大型車の後部座席を改造したもので、日本製の“小さな車”は住居向きではない。そういう意味では、日本でもやがて“そういう人達”が増えていくかは微妙である。ただ「ミニマリズム(最小限主義)」という思想も加担していることは否めない。日本的にいえば「断捨離思想」だ。極力、必要なものを持たない“生き方”だが、これは誤解を招きやすい思想で、元々が“物質欲”や“独占欲”の強い人が行うと大変効果的な“生き方”なのだが、そういう欲求が強くない人にとっては“逆効果”で哀しい結果を招くこともあるから注意しなければならない。
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