最初は「素晴らしいことだ」と思った。けれども、よくよく考えると、もしかしたらこれは“大間違い”なのかもしれない、と思うようになった。ホームレスに対する英国の慈善団体からの“画期的なアイディア”である。それは不意の時でも困らないようにホームレス専用の“自販機”を設置するというのだ。つまり、慈善団体の方から認定を受けたホームレスには専用カードが配られ、それを用いれば、一日に付き三回まで無料で“生活必需品”が自販機から出て来る。確かに、これがあれば、夜間などでどうしても生活必需品が必要となった時、路上でそれを誰に気兼ねなく得ることが出来る。画期的なアイディアなのだ。飲料水、果物、サンドイッチ、靴下、トイレットペーパーなどの品々だ。確かに、夜中、そういうものが欲しくなることって、有りますよね。だから、そのアイディア自体は素晴らしいし、それに協力してくれる自販機の製造会社とか、食物の供給会社とか、種々の処にも協力を取り付け実現しようとしている努力は見上げたものである。確かに、それはそうなのだ。けれども、何かがおかしい。そう、これは“ホームレスの支援方法”としては間違ってはいない。間違っているのはホームレスから“通常社会”へと復帰するための意欲や意志が挫けてしまう可能性が大きいことだ。なぜなら、生活に“困らない”からである。むしろ、ホームレスにはなっていない一部の貧困者からすれば、贅沢なくらいの生活が享受できる。黙っていても、欲しいものが手に入るのだ。だから、“ホームレス生活”を脱出しようという意欲や意志が無くなってしまう可能性が大きいのだ。したがって、支援活動そのものとしては間違っていないのだが、自立への歩み、或いは本来の社会への“復帰活動”に対する意欲を奪い取ってしまう働きをしかねない。そういう意味では“大間違いの自販機”で、むしろホームレスを増やしてしまう可能性さえある。もちろん「善意」の発想であることは間違いないのだが、“ひきこもりの子”を“甘やかす親”との関係に、どこか似ている。
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