オードリー若林のエッセイ集『ナナメの夕暮れ』が好評だ。発売2週間で10万部を突破したらしい。そう言えば最近、若林氏はあちこちのTV番組でレギュラーを持つようになった。オードリーとして出演するというより、若林正恭として“単品”としてじわじわ好感度を上げつつある。オードリーが最初にTVに出てきたとき、その注目度は圧倒的に春日俊彰の方にあった。かといって、春日氏のギャグが特別面白かったわけではない。ただ何となく胸を張って悠然と出て来るところが印象的だっただけだ。いつの間にか“春日”の存在感が茶の間受けした。その頃、若林の方はあくまで“その横に居る人”であった。似たようなところから出発したコンビに「ピース」の綾部裕二と又吉直樹がいる。この2人も、最初は“綾部の熟女好き”が妙に母性愛をくすぐり、中高年のファンを生んだ。“おかみさんとの関係”というのも何となく興味をそそった。ところが途中からコンビの関係は一転する。髪の長いことだけが印象的だった又吉氏の方が芥川賞を受賞してしまったからだ。それ以降、又吉氏は“作家”としての仕事が多くなる。TVにも出るが、それはピースとしてではなく作家・又吉直樹としての出演となる。そのことが直接的ではないにしても、綾部氏の“アメリカ行き”につながったことは否定できない。一方、オードリーの方は、一時期、春日氏は“体力勝負”に出ていた。未開部族との交流や闘いのコーナーを持つとか、ボディビルに邁進するとか、オリンピック出場の夢をかけて競技に挑むとか、何に向かっているのかよく解からないのだが、とにかく恵まれた身体に磨きをかけていた。さらには“東大受験”という昔懐かしい番組のような取り組みも行った。それに対して若林氏の方は“文系の仕事”が多くなった。結果的に、その“文系”を好む人たちが購入して10万部突破につながった。つまり若林氏の場合、TVの視聴者がそのままエッセイ読者となってくれているように見える。春日氏ほどの“努力”はしていないが、無理せずとも“若林ファン”を増やしていった。オードリーもピースも、最初は“微妙な笑い”からスタートしているのだが、今やコンビは完全に分かれて、“それぞれの道”を歩み始めている。そして、その“最終的ゴール”がどこになるのか、誰が一番“幸せ籤”を引いたのか、まだ当分わからない。
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