10月8日9日に沖縄の宮古島に行くと、あなたにもきっと「福」が授けられる。但し、少々汚くなるし、泥臭くもなるけど、その辺は我慢しなければならない。この島では毎年、国の重要無形民俗文化財にもなっている「パーントゥ」の祭りが行われる。特異な草を身にまとった全身泥まみれの鬼神三匹が、島中を駆け回って人々を見つけては“厄を払う”泥を塗り付けて来る。古井戸の底にたまっている泥なので汚いだけでなく強烈な臭いまでする。けれども、それこそが“厄を払う”泥なのだ。母親に抱かれた子供などは泣きながら泥を塗られる。泥の鬼神は海底から這いあがって来たので泥まみれだが、海のかなたの「福」を携えている。こういった“奇祭”は日本各地にある。有名なのは男鹿の「ナマハゲ」だ。政府は仮面姿の“異形の神々”をまとめてユネスコの「無形文化遺産」に登録しようとしているが、最近は世界各地から申請が多く、昔ほど登録基準が甘くはない。それに、こういうものは文化遺産になったから大事にすべきではなくて、実際に“効果があるかもしれない”から大切にすべきものなのだ。大昔、私は正月に獅子舞がやって来て、獅子に頭をかまれることで“その年は病気をしない”という風習に出遭った。その時、私は何歳だったのか、3歳くらいだったか、母親は強引に私の“頭”を差し出そうとした。幼い私は必死に抵抗した。食べられてしまう、と本気で思った。わんわん泣いて嫌がった。あまりの抵抗に、獅子舞の方が根負けして、次の子の方に行ってしまった。私は、もっと大泣きをした。自分の母親が、私の頭を差し出そうとしたことが悔しかったのだ。私は「愛されていないんだ」と思った。そう思うと、泣いても泣いても涙が止まらなかった。母親は困ったような顔をしていた。嫌なことは絶対に従わない“我が児”の行く末を案じていたのかもしれない。
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