事実上、自民党の総裁選がスタートしているが、今一つ盛り上がらない。もう大勢が判明していることもあるが、現首相への対抗馬が石破氏ただ一人でちょっと寂しいこともある。野田聖子氏も未だ“出馬への意欲”は捨てていないようだが、推薦人があまりに乏しすぎる。それに、いろいろと噂される“配偶者への疑問”が消えていない。それ以外で“出馬”しようとする人物がいないのは長期的視点で見ると問題だ。人気だけなら小泉進次郎氏が“出馬”への意欲を語って良さそうなものであるが、党内の支持が集まらないのだろうか。そこで石破氏に戻る。この人の何がいけないか。何が盛り上がりに欠けるのか。私は今回のスローガンにあると思うのだ。彼は「正直」と「公正」を掲げている。自分が総理・総裁になったなら、正直で公正な政治を取り戻すと言っている。確かに、それが“理想”ではある。けれども、日本国の首相は諸外国とも渡り合わなければならない。そして残念なことにというべきか、日本を取り巻く国々は、そしてそれらの国のトップは必ずしも「正直」「公正」ではない。正直・公正に挑むとつぶしにかかってくる可能性もある国々なのだ。もし、我が国のトップが日本人だけを相手にするのであれば、正直で公正なのはとても良いことだし、理想的な政治でもある。けれども、世界の国々と“渡り合わなければならない”現実がある。正直や公正だけで交渉事が出来るものではない。特に近隣を支配している面々はなかなかの“つわものぞろい”である。例えば北朝鮮に対して「正直に答えてくださいよ」と言って「実はね…」と返してくれるだろうか。アメリカに対しても、中国に対しても、ロシアに対しても、韓国に対しても、一筋縄でいかない面々を相手にしなければならない。或る意味で、日本が「正直」「公正」に向き合いやすいのは、少し離れているイギリス、ドイツ、オーストラリア、カナダなどの国々だ。利害の絡む政治世界に「正直」「公正」を持ち出すのは、逆に“信頼できない”印象を与える。石破氏が、もっと普段から本音で話す人であれば、その言葉に真実味が出るのだが、どちらかと言えば状況を見てものをいうタイプの政治家だけに、その言葉の信頼度に「?」が付くのは仕方がないだろう。
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