「漫才師・横山やすし」と言えば、その相方だった「西川きよし」氏しか思い浮かばない。ところが、彼を「師匠」と仰ぐ漫才の「横山たかし」という人物がいたらしい。1994年には「たかし・ひろし」のコンビで「上方漫才大賞」も受賞している。その横山たかし氏(70歳)が、6月1日に多臓器不全で亡くなった。そのことがニュースになって、はじめて私は横山やすし氏に“愛弟子”がいたということを知った。あのような人物でも「師」と仰ぐ人物がいたことを知って、世の中“見捨てたものではない”となぜか思った。今は横山やすし氏が亡くなってかなり経つので、或る意味“伝説の人物”として受け入れられているが、そのあまりに「破天荒な生き方」は世間やマスコミから“猛バッシング”を受け続けていた。私には少し“天邪鬼”なところもあって、世間やマスコミから猛バッシングを受け続ける人物を見ると、可哀想に…と同情したり、もう許してやれよ…と抱きしめてやりたくなったりする。そういう私でも「こいつは面倒見切れないなぁ」と思ったのが、横山やすし氏だった。あまりに“喧嘩っ早い性質”を治さないと、“敵”ばかりを増やしていってしまう。そういうところが垣間見えた。TVの生放送でも“一触即発”の口論はしょっちゅうで今でいう“切れキャラ”なのだが、元々がやせぎすでいかにも神経質に見える。毎日、散髪に行って、ほんの1ミリでも違うと駄々をこねたらしい。もう少し“大らかなところ”があれば、“切れキャラ”を演じることが出来て、もっと支持が広がっただろうに、作った“切れキャラ”ではなく、本物の“切れキャラ”なのでたちが悪い。あっちこっちに敵を作って周りを常にはらはらさせるタイプだった。警察にも何度も捕まり、そのたび謝罪会見も開いていた。まあ、昔の「芸人」の風情を残していた最後の人物だったのかもしれない。今なら、すぐに猛バッシングされ、世間から総スカンを打って二度とTVやマスコミに出られなくなる。実際、彼は若死をしたが、その方が時代的には良かったかもしれない。今だったら、とても再起などさせてもらえないからだ。ただ、そういう人物でも“受け入れていた時代”の方が、活き活きと感じられるのはなぜだろう。結局、コンプライアンスに引っ掛からない芸人やタレントばかりになると、世間の顔色を窺うことばかり言うようになる。要するに、当たり障りのないことを言って、批判されないようにしようという人物ばかりの“世の中”になる。芸術作品でもそうだが、批判の出ないような作品は大体つまらない。ところが、そういう作品ばかり、そういう人物ばかりにスポットライトが当たって、時代の波というか、大きなうねりというか、そういうものが見逃されていく。そういう社会になってほしくない、と思うのは私だけなのであろうか。
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