もう何年前のことだろうか。私は何気なく、その記事を読みながら「どうしてこんなに差があるんだろう」と不思議に思った記憶がある。カルロス・ゴーン氏の役員報酬が、他の経営者たちに比べて突出して多かったからだ。確かにゴーン氏によって“日産”は復活した。それは誰もが認めるところだ。けれども、他の大企業の経営者達と比べて、あまりにも“差”があり過ぎる。別に何の根拠もなかったが、私は“何かのからくり”があるのかな、と自分を納得させた。ところがである。事実は小説よりも奇なりで、彼の役員報酬は、もっと多かったというのだ。彼は約20年間にわたって、日産のトップにあった。今回、東京地検が問題としているのは、そのうちの5年間の報酬額である。つまり、本当はもっと前から行われていた可能性があるのだ。役員報酬だけで、しかも捜査対象の5年間だけで、実際は99億9800万円だったのを、49億8700万円に過少記載していたというのだ。早い話、100億だったのを50億にしていたという話。実際には、もっと貰っていたのだ。実は東京地検が動いているのは、それだけではないからだ。“虚偽投資資金の支出”及び“会社経費の私的流用”の二つも、捜査線上に上がっているからだ。もしかすると、こちらの方が本丸かもしれない。もし、全面的にこれらが暴かれると、何百億もの“黒い金”が動いていたことになる。しかも、その使い道が“闇”に包まれている。ゴーン氏は日産だけでなく、フランス・ルノーの会長も兼ねている。フランスでは以前から、彼の“高額報酬”が問題となっていた。やはり、ここでも彼だけが突出してその報酬額が大きかったからだ。早い話「どんだけ儲ければ気が済むの」という思いを、洋の東西で感じていたのだ。日産は今頃になって、ゴーン氏独りだけに権力が集中し過ぎたと反省している。同じ自動車業界で頑張っているトヨタの豊田章男社長でさえもやっと3億円になったばかりで、日本企業の場合、本来はその辺が“妥当線”なのだ。まあゴーン氏の言うごとく“グローバル企業”の年間報酬として10億円を得ても問題ではない、という認識が間違っていないにしても、それなら何故“本当の金額”を記載しなかったのか、という問い掛けになる。いずれにしても、私のささやかな“救い”は、去年まで持っていた日産の株を、もう所有していないということだ。ゴーン氏が社長を辞めたので“売った株”だったが…。
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