最近は「防犯カメラ映像」というものが犯罪捜査では大いに役立っている。そのせいで“路上犯罪”は言い逃れが利かなくなりつつある。一方、室内犯罪の方はどうだろう。室内で防犯カメラが備えられているのは公共施設とか一部の大邸宅とかで、通常の家屋や個人商店などでは取り付けていないのが通常だろう。仮に、新築の際「室内にも防犯カメラを設置しましょうか」と問われたとしても、ほとんどの人が「そんなものは不要です」というに違いない。余程の大邸宅とか、家の中に宝物が秘蔵されているとか、家を空けがちな職業とか、寝たきりの病人を抱えているとか、心霊現象が絶え間ないとか…まあ、そういう家でもない限り、防犯カメラを取り付けようとはしないだろう。ところが、室内で“殺人事件”が起き、その時居合わせた二人が共に「自分が殺したのではない」と言い張った時、防犯カメラがあれば…と裁判官は思うに違いない。そういう事件の公判が昨日行われた。三重県鈴鹿市で起きた殺人事件。DVの激しい夫を、その妻と交際相手の男が共謀し、自ら経営するスナックの店内で“絞め殺した”とされる事件だ。事件当時、その店には被害者以外、妻とその男しかいなかった。したがって二人が殺人に関わったことに関しては否定しようもない。そこで“共謀して殺した”ことまでは、二人の供述も一致しているのだ。ところが、実際に手を下した犯人という点で、二人の供述は真っ向から対立する。共に、自分は直接手を下していない、と主張しているのだ。そこで、今回は妻の交際相手だった上山真生(30歳)の公判なのだが、それに検察側の証人として“共犯の妻”が出廷したのだ。そして、妻は電話で呼び出したところ、電気コードを使って上山が夫の首を絞めた、と供述した。一方、上山の方は弁護人質問で、妻がピンクのビニール手袋をはめて首を絞めた、と供述している。勘違い的な“違い”ではなくて、明らかに“相手に罪を負わせる”目的で、或いは自分の罪を少しでも軽くするための「うそ」を、どちらかが供述していることになる。妻・横山富士子(46歳)は2013年に20歳年下だった麗輝氏と結婚した。その後、夫のDVが激しくなるなかで店の客として出逢った上山と恋愛し夫の殺害へと動いていくのだが、どちらが殺人の首謀者なのかは客観的判断が極めて難しい。証言の中で妻は「二人で罪を償って一から頑張りたい」と涙を流したが、果たして、その“涙”は信じられる涙なのだろうか。
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