北国の「雪」には、どこか“もの悲しい雰囲気”が漂っている。だから“冬”など無くなってしまうのが本当は良い。完全になくなってしまうのも少し寂しい気がするので、2週間くらいだけ“冬”がやって来て、足早に去っていくのが一番良い。いつも、この季節になると、そういう気持ちになるのだが、今年の神様はそういう私の気持を少しだけ汲んで“雪が降る”のを遅らせてくれている。ということもないのだが、どうやら今年は132年前(1886年11月18日)の歴史的な記録に次ぐ“遅い初雪”となりそうだ。北海道の初雪は、いつもなら10月下旬には降っている。そうして、また何日か経って雪は解け、いったん秋に戻ってから、再び11月の下旬とか、12月の初旬とかに“本物っぽい雪”が降りだす。そういうのがいつものパターンなのだが、今年はまだ降っていない。予報では、どうやら13日以降に降る予定らしいが、もう少し遅らせてはくれまいか。街がクリスマス一色になる12月半ばくらいが良いんだけどなあ。夜が明けると、辺り一面真っ白の“銀世界”に変わっていて、狭い煙突から真っ黒に汚れたサンタクロースさんが出て来て「今年はどんなプレゼントが欲しいですか?」と訊きに来る。サンタクロースさんは「ついでにシャワー貸してくれませんか」というんだけど、北欧の言葉だからよく解からなくて、おにぎりを一つだけ与えて追い出してしまう。私がまだ少年の面影を残していた頃、アダモの「雪が降る」という歌が大ヒットした。雪が降る街かどで愛する人をじっと待ち続けているという“切ない歌”だった。それこそ雪が降る季節の北国にはピッタリな歌で、どうも北国の冬をテーマにすると“寂しい歌”“別れの歌”“もの悲しい歌”しか思い浮かばない。私が20代まで過ごした室蘭は、同じ北海道でも北風が強く、雪が吹き飛ばされて積もらない。街角で人を待つなどとてもできない。その点札幌は、白い雪がしんしんと降り積もるので「雪が降る」の曲にピッタリな街の情景が出現するのだ。私は札幌へ来て初めてしんしんと降り積もる白い雪を見た。こういう街で育ったなら、焼き鳥をかじりながらの恋ではなく、もっとロマンチックな恋が出来ただろうに…と思ったものだ。
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