日本電産の創業者・永守重信氏は最近、あちこちの教育機関に寄付金を与えている。寄付金と言っても一千万とか二千万とかのけちな金額ではない。70億とか100億とかいうとてつもない金額である。彼は「日本電産」を起業し一代で“世界企業に躍進させた”人物で、日本有数の大金持ちでもあるが、それにしても桁違いの寄付金である。2014年には府立医科大で70億円を出資し“がん治療”のための陽子線施設を寄付設立し、今年4月には京都大学に次世代モーターを研究する寄付講座を開講、これは今後5年間で2億1千万を寄付する予定らしい。さらに京都学園大学には工学部新設の費用として100億円以上を支援する予定なのだ。ちょっと京都に偏り過ぎている気もするが、それは日本電産が京都にあるので仕方がない。彼の特徴は、やみくもに寄付をするのではなく、明確な目的のために支援する形を取ることで、後に続く優秀な研究者や起業家を育てたい、という思いが色濃く反映されている。日本の場合、大金持ちになると遺産相続の時点で、その半額ほどは税金となる。税金となってしまうと、実際にはそのお金が何に使われるのか誰にもわからない。それならば、自分が“あの世に旅立つ”までに全財産を“寄付として”使い果たして死んでしまおう、というのが彼の発想なのだ。何んとも豪快な生き方である。通常、子供や孫のためなどと財産を少しでも残そうとする人物が多い中で、使い切ってしまおう、という発想が心地よい。しかも、それは“遊び”等ではなくて、あくまでも日本の未来を背負う者たちのためにである。これに近いことを成し遂げたのは現パナソニック(松下電器)創業者・松下幸之助氏が私財を投じた「松下政経塾」以外に知らない。この塾からは多数の政治家が育った。もし私に財産があれば、運命学の総合的な研究機関を作りたいが…預金額を見てみよう。あっ、いけない、そんなバカな(焦る)「夢、幻の如くなり」って、織田信長か!
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