十代の女性に時々起こるのが“予期せぬ妊娠”だ。家族にも相談できないまま“堕胎”の時期を過ぎる。そうすると、もう出産するしかない。本当は途中で誰かにバレた方が良いのだが、外出も控えるためか、気付かれぬまま“一人で出産”してしまうケースも多い。気付かれぬままの出産は、時として“気付かれぬままの殺人”を招く。当然、その遺体は“弔われるまま”遺棄される。こうして、吉丸伶華容疑者は“三人の児”を自宅で産んでは棄て続けた。そして、“三遺体”を仙台のアパートに残したまま、自分だけ大阪に新天地を求めた。それは最初のうち、成功したかに見えた。恋人も出来、結婚も出来、出産もした。けれども、その頃から、幼児の幻を見るようになった。棄てて来た部屋からの“幻影”に怯えるようになった。こうして吉丸伶華は大阪の警察に自首したのだ。夫とふたり暮らしだった岡崎市の石橋直恵容疑者(68歳)は、夫(75歳)の介護に疲れていた。介護と言っても、夫の病状がそれほど重体だったわけではない。生活に多少支障がある程度で、寝たきりとか、車椅子とか、そういう状態ではない。ただ生活そのものに負担が多くなって、夫と口喧嘩をすることが多くなった。夫は大人しい人だったせいもあり、口喧嘩をすると、なぜかトイレの中に籠城した。その日も、そういう形となって、自分だけ外で食事をした。夜になっても、夫はトイレから出なかった。数日後、もしやと思ってトイレを開けると、夫が便器に座った形のまま亡くなっていた。石橋直恵は怖くなって、その家から飛び出した。そうして親戚の家など転々とした。自宅に戻ることが出来なくなったのだ。やがて、大家から警察の方に連絡が行った。あの部屋から“異臭”がする。住人と連絡を取ろうとしても取れない。こうして警察が住居に立ち入ってトイレを開けると、そこに座ったままの形でミイラ化した石橋誠一氏の遺体があった。この二つの事件は、共に死後ミイラ化したとしても、家族は“家族であり続ける”ことを教えている。放置するわけにはいかないことを物語っている。当然と言えば当然なのだが、弔われていない霊が、母親や妻など家族を頼るのは当然のことで、誰もが、そこから逃れられない。
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