大昔、昭和20年代の頃、米兵たちが日本の“バラック長屋”を見て「ウサギ小屋のようだ」と揶揄した。時代は変わって現在、世界でもっとも“極小型アパート”に暮らすのは香港の人達になってしまった。中国本土からの“爆買い”によって、元々住宅地そのものが乏しい香港は近年、不動産価格の高騰が続いている。その結果、低所得者が暮らすアパートは、どうしても“極小”に仕切らざるを得なくなってしまった。現在、香港の住宅価格は東京の住宅価格と比べて“二倍弱”くらいに高騰し、まだまだ上昇しそうな勢いなのだ。したがって、新たな香港の賃貸住宅には「トイレ・シャワー・キッチン」の“一体型アパート”が増えてきている。トイレとキッチンの“一体型”は、どんなに極小のアパートでも日本ではありえない。日本人の“潔癖感”がそれを許さない。日本人の場合、ホテルなどのトイレ・バスルーム“一体型”でさえも、何となく抵抗感がある。トイレとキッチンの“一体型”が許されるのは、一つには“外食主体”のお国柄もあるだろう。その平均的“一体型”アパートは10㎡で6万4千円の家賃。東京でも近年、シェアハウス型の似たアパートはあるが、通常キッチンは別になっている。それに価格はもう少し安いはずだ。実は、香港の上を行くの都市というのがあって、それはロンドン。住宅価格だけで言えば、世界中でもっとも高い。ただロンドンの場合は、“EU”からの離脱で移民が減るはずなので、今後は下落していく可能性もある。一時期は世界中でもっとも高いのが東京だったが、今や“世界の8番目”で普通となった。上海とか、ニューヨークとか、シンガポールとかも、住宅価格が高騰している。とにかく中国本土の人達が“爆買い”する地域は、どの国の不動産であれ高騰していく。しかも、彼らは“投資用”のみで購入する。そこが問題なのだ。北海道のニセコ近辺も、異様なほど値上がりしている。住宅というのは、本来、そこで寝起きをして暮らしていくためのもので「投資の対象ではない」ということを、誰か言ってやらないと…。
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