もし、同じようなことが日本で行われることになったなら、マスコミや世論はどう反応するのだろうか。そう考えずにはいられない出来事が6月2日、オランダで秘かに実行された。17歳の少女ノア・ポートベンさんが、過去の性的虐待やレイプの記憶から逃れられず、心的外傷後ストレス障害=PTSDを発症、さらに“うつ病”や“拒食症”まで併発し、生きる気力を失って「安楽死」を選択したのだ。彼女からの要請を受けたオランダの専門医は、彼女の権利行使を妥当と判断して「安楽死」の薬剤を与えていた。彼女は、自らのインスタグラムの中で数日中に安楽死すると予告し、その予告通り6月2日に自宅リビングで実行したのだった。つまり、彼女はきわめて合法的に「死」を選択した。「一時的な衝動なのではない」と彼女は述べている。確かに、そうなのかもしれない。それでも、その選択は「正しいことなのか」と問いかけてしまう。医療上のシステムとして、オランダでは2001年から「安楽死の権利」が認められるようになった。日本人の多くも、それを知っている。ただ、だから“正しい選択”だといえるのだろうか。亡くなった彼女は自伝的作品を出版している。それによれば11歳の時に性的虐待を受け、さらに14歳の時にレイプされた。その結果、PTSDを発症して、その苦悩・苦痛から逃れられなくなった。彼女は「安楽死」を「何年も戦った末の選択」だと記述している。そして安楽死の可否を決める専門医も、彼女の判断を「妥当」とした。その“耐えがたい苦痛”から医療的には「逃れる術がない」と結論付けたのだ。本当にそうなのだろうか。少なくとも、彼女の病気の根底にあるのは「現在の事象」ではない。「記憶」の部分のみである。もし彼女の頭脳から、その記憶だけを消すことが出来れば、苦悩からも解放される。そうだとすれば、彼女はまだ17歳である。今後の医薬の発達によって、或いは医薬ではなくても、精神医学とか、宗教とか、呪術とか、催眠療法とか…何かが発見できるかもしれない。特に高度な催眠療法が可能なら、その部分だけの記憶を消して、哀しみや苦悩を消して、生まれ変わらせることは可能だったのではないだろうか。運命学的には、彼女の才能とか資質を見極め、その部分に意識を集中させることで、少なくとも“生きる気力”は取り戻すことが可能だったような気もする。もちろん「安楽死」を選択した彼女を責めることは出来ない。けれども、何かしら、その選択が「正しかった」とは言えない私がいる。
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