Nettlixのドキュメンタリー「ラスト・ツァーリ」はロシアの“ロマノフ王朝”最期を描いた作品だが、その第一話でニコライ二世の腕に「刺青が入っている」ことが注目を浴びた。けれども皇帝が実際に刺青など入れるはずがなく、もしかしたら俳優の“映ってはいけない部分”が映ってしまったのではないか、と妙なことから注目を浴びたのである。けれども、これは映した方のミスなどではなく、忠実に再現した結果であるということが明らかとなった。しかも、その刺青は日本に来た時に、ニコライ二世が或る種のアートとして惚れ込み、自ら志願し7時間かけて入れてもらった「龍」だというのだ。彼がまだ23歳の皇太子の時、1891年の4月に長崎を訪れ5月まで滞在して各地を巡った。その頃、ロシアと日本とは良好な関係にあって、長崎にはロシア海軍の士官8名が在住していたが、何と8人とも日本人妻を持っていたらしい。それを知ったニコライ二世は「自分も日本人妻を得たりできないだろうか…」と日記に記している。歴史家の中には、ニコライ二世は軍隊を率いなければならない皇帝には「もっとも不向きな人物」と評する人もいる。まだ皇太子の時代ではあるが、もしかすると長崎の花街で芸者5人を招いて朝4時まで帰らなかったという彼のエピソードなどにも、大国を統治していくなどの職務は苦手な一面が反映しているかもしれない。実は、私は“もう一つの理由”からニコライ二世に注目していた。それは彼が英国の手相家キロを招いて、手相を観てもらっていた事実があるからだ。元々“英国貴族出身”という触れ込みのキロは貴族階級の女性達に人気があった。評判が評判を呼び、各国の王族・貴族たちの手相も鑑定した伝えられている。ニコライ二世に対しては「皇帝は不慮の死、しかも銃弾に倒れる運命を持たれる」と予言したらしい。もちろん、これは機路が自分の著書の中で語っていることなので、本当にそのようなことを述べたのかどうか誰にもわからない。ただキロはニコライ二世が「短く途切れる頭脳線と土星丘上の十字形がそれを表わしていた」と記している。確かに短く途切れる頭脳線は“事故”に遭いやすい相で、短命の人もいる。土星丘上(中指下)の十字形は“晩年運の良くない相”であり“不慮の災難”に遭いやすい人の相ではある。ただ王宮に招かれ手相鑑定をしながら「銃弾に倒れる」とはなかなか言えることではない。そういう点で、もし本当だとすれば余程の自信家かバカなのであろう。なぜなら王宮を生きたまま帰れる保証はないからだ。ただし、一部研究者によれば「キロの自伝など信用ならない」と偽証部分が告発されてもいる。どこまでが真実かは微妙だが、手相を観たことだけは確かなようだ。
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